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第52回 蛇笏賞 迢空賞 授賞式

授賞式にて。受賞者と選考委員の皆様。

 

6月29日(金)、第52回蛇笏賞・迢空賞の授賞式が行われました。

長い間、受賞者を迎える立場にいましたが、今年は受賞作の版元として出席。感慨一入でした。

既に半世紀を超える俳壇・歌壇最高の賞。今年の受賞者は、次の3名。

◆蛇笏賞 

有馬朗人氏 句集『黙示』(角川文化振興財団)

友岡子郷氏 句集『海の音』(朔出版)

 

◆迢空賞

三枝浩樹氏 歌集『時禱集』(角川文化振興財団)

 

蛇笏賞は二年連続の二人受賞となりました。

選考委員を代表して高野ムツオ氏は、

有馬さんは海外詠を基盤とし、諸外国で見てきた自然、事象、文化、民族、

生活などを通じてとらえた世界観が普遍的で新鮮なポエジーを生んでいる。

スケールの大きな句が特徴。旅の句というのは俳句の伝統であり、

有馬さんの句は「行動する中から生まれる俳句」。

対する友岡さんの句は「不動の俳句」。何が不動かと言うと、物を見る目、

言葉を紡ぎ出す姿勢が不動で、一所定住の日常から、海の音、潮の匂いが

しっかりとしてくる。言葉の背後に 慈しみが 満ち溢れていて、

その根底には愛がある。俳句は愛によって生まれる、これは有馬さんの

俳句と通じ合う共通した俳句の基盤であろう。

 

と評しました。

まさに「動」と「静」の受賞者と言えます。

 

 

 

 

 

この日、スウェーデンから帰国したばかりの有馬先生。

中高時代に高濱虚子、富安風生の選を受け、東大入学以後は山口青邨の厳しい指導を受けられました。

三人の先生に感謝するとともに、「どうしても生涯に貰いたかった賞が二つある。一つは蛇笏賞。

もう一つの賞はまだいただいていないが、候補になっているのは確か。それが分かるまであと20年。

もう少し頑張って待ちたい」と言って会場を沸かせました。

 

一方の友岡さんは、兵庫県明石市から前日に上京。ご挨拶では陶淵明の「帰去来の辞」をひいて、

「心も体も平穏で安らかであることこそ自分の帰っていく道だ、という気持ちで 『海の音』を出しました。

 マイナーポエットはマイナーポエットらしく、飯田蛇笏・龍太の優れた足跡を胸に蘇らせて

俳句の仕事に励みたい」と述べられました。泉下で、蛇笏・龍太の両先生が喜ばれていることでしょう。

 

最後に、迢空賞の三枝さんは、 「短歌は受けたものを返す詩型である」として釈迢空の歌を挙げ、

「一首の中に世界がすっぽりおさまるような深い世界が詠み込まれている、そのような歌をつくった迢空。

私もいつかそういう歌に近づいていきたい」と語られました。

お三方それぞれに心に沁みる受賞のご挨拶でした。

友岡子郷先生、有馬朗人先生、三枝浩樹先生のご受賞を

心よりお祝い申し上げます。

 

 

 

 

 

高野ムツオ選考委員

友岡子郷氏

​有馬朗人氏

三枝浩樹氏

懇親会にて。乾杯の馬場あき子氏と受賞者。