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金子兜太句集『百年』

 

兜太俳句、最終章

 

素っ裸の人間・兜太が

言葉となってここに居る

 

生誕100年(2019年9月23日)に合わせて、待望の第15句集刊行。「社会性俳句」「前衛俳句」「造型俳句」「定住漂泊」「俳諧自由」「生きもの感覚」「アニミズム」「荒凡夫」そして「存在者」。造語も含め多彩なキーワードをまとい、大正・昭和・平成と激動の1世紀を駆け抜けた俳人・金子兜太の最終句集。

『百年』には、2008年か夏から絶筆句まで、最後の10年間の作品をほぼ全句収載。社会問題を詠み、反戦・平和を訴え、産土への思いが貫かれた本書には、あるがままの人間・兜太が言葉となって現れる。全736句の保存版!

発行 2019年9月23日

編集 「海原」俳句会・句集『百年』刊行委員会
装丁 奥村靫正/TSTJ
四六判上製本 240頁

本体価格 3000円(+税)

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『百年』15句抄

昭和通りの梅雨を戦中派が歩く

初富士と浅間(あさま)の間青し両神山(りょうがみ)

裸身の妻の局部まで画き戦死せり

津波のあとに老女生きてあり死なぬ     

被曝の人や牛や夏野をただ歩く

雲は秋運命という雲も混じるよ

白寿過ぎねば長寿にあらず初山河

科(しな)の花かくも小さき寝息かな

干柿に頭ぶつけてわれは生く

死と言わず他界と言いて初霞

朝蟬よ若者逝きて何んの国ぞ

戦さあるな人喰い鮫の宴(うたげ)あるな

雪の夜を平和一途の妻抱きいし

秩父の猪よ星影と冬を眠れ

河より掛け声さすらいの終るその日

<著者略歴>

金子兜太(かねこ とうた)

1919年9月23日―2018年2月20日。俳人。

埼玉県の秩父で育つ。18歳より俳句に熱中し、のち加藤楸邨の「寒雷」に所属。

東京帝国大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。

海軍経理学校を経て1944年、海軍主計中尉としてトラック島に赴任した。

1946年に帰国し戦後の社会性俳句、前衛俳句の旗手として活躍、俳句史に残る

多くの俳句と評論を発表した。1962年「海程」創刊。1983年、現代俳句協会会長。

日本詩歌文学館賞、蛇笏賞、菊池寛賞、朝日賞など受賞多数。

生前の句集に第一句集『少年』から第十四句集『日常』、

著書に『荒凡夫 一茶』『語る兜太』他多数。

生涯現役で現代俳句を牽引し、晩年は「平和の俳句」など全身全霊で反戦を訴えた。

2018年2月20日、急性呼吸促迫症候群により他界。享年98。